日々のコーディングに生成AIは欠かせない時代になりましたが、企業や開発現場において常に付きまとうのが「ソースコードや機密データの外部送信(漏洩)リスク」です。
「クラウドのAIは便利だけど、社外秘のコードを通すわけにはいかない……」
そんなセキュリティの壁を突破し、手元のPC内だけで完結する「完全ローカル・プライベートAI開発環境」を構築する方法をご紹介します。使用するのは、VS Codeの最強のAI拡張機能「Continue」と、ローカルLLM実行環境の「Ollama(Dockerベース)」です。この記事1本で、インストールから設定の勘所、便利な使い方までを網羅してお届けします!
1. なぜ「Continue」×「Ollama」なのか?
数あるAIツールの中でも、この組み合わせが最強である理由は3つあります。
- 完全オフライン動作(データ漏洩リスクゼロ)クラウドのAPIを一切叩かず、PC内のメモリとGPUだけでモデルを動かすため、ネットワークを遮断しても動作します。
- VS Codeとの圧倒的な親和性GitHub Copilotのように、エディタ上でインラインのコード生成、チャットでのコード解説、エラーログの自動修正が可能です。
- Dockerを使ったクリーンな環境構築ローカルのメインOSを汚さず、Windows Docker上でOllamaをスマートに管理・運用できます。
2. 【準備編】Docker + OllamaでローカルLLMを起動する
まずはAIの「脳みそ」となるOllamaをDocker経由で立ち上げます。
1. docker-compose.yml の作成
GPU(特にNVIDIA製)を搭載したマシンであれば、以下の構成ファイルを用意することで、コンテナからGPUを認識させて高速な推論が行えます。
YAML
version: '3.8'
services:
ollama:
image: ollama/ollama:latest
container_name: ollama
ports:
- "11434:11434"
volumes:
- ollama_data:/root/.ollama
deploy:
resources:
reservations:
devices:
- driver: nvidia
count: all
capabilities: [gpu]
volumes:
ollama_data:
2. コンテナ起動とモデルのプル
コンテナを起動後、コマンドプロンプトやターミナルから、コーディングに定評のある軽量LLM(例:codegemma や llama3 など)をローカルにダウンロードします。
Bash
docker exec -it ollama ollama run codegemma
※これで手元のローカルポート 11434 でAIモデルがスタンバイ状態になります。
3. 【設定編】VS Codeの「Continue」をローカルに接続する
次に、VS Codeに「Continue」拡張機能をインストールし、先ほど立ち上げたOllamaと紐付けます。
- VS Codeの拡張機能マーケットプレイスから「Continue」を検索してインストールします。
- 画面の左端に現れるContinueアイコンをクリックし、設定(歯車マーク)を開きます。
- 自動で開く設定ファイル
config.jsonのmodels部分を、以下のようにローカルのOllamaを指すように書き換えます。
JSON
{
"models": [
{
"title": "Ollama - CodeGemma",
"provider": "ollama",
"model": "codegemma",
"apiBase": "http://localhost:11434"
}
],
"tabAutocompleteModel": {
"title": "Ollama - CodeGemma",
"provider": "ollama",
"model": "codegemma",
"apiBase": "http://localhost:11434"
}
}
💡 接続エラー(罠)を回避するコツ:
DockerコンテナからVS Code(ホスト側)へのアクセスや、ポートの競合で繋がらない場合は、
apiBaseのアドレスが正しいか、コンテナ側のポートマッピングが11434になっているかを必ず確認しましょう。
4. 【実践編】明日から使える!Continueの超便利テクニック
環境が整ったら、以下のショートカットと操作を覚えるだけで、開発効率が劇的に跳ね上がります。
① Ctrl + I でインラインコード編集(コピペ不要)
修正したいソースコードを選択し、Ctrl + I(Macは Cmd + I)を押します。ポップアップに「この処理を早期リターン(ガード節)を使って書き換えて」「エラーハンドリングを追加して」と日本語で指示するだけで、その場でコードが書き換わります。
② @ メンションでコンテキスト(文脈)を伝える
Continueのチャット欄で @ を入力すると、さまざまな情報ソースをAIに渡せます。
@Files:開いているファイルを丸ごと読み込ませて仕様を質問する@Terminal:実行時に出たエラーログを読み込ませて、一瞬で原因を特定してもらう
③ コードの自動補完(Tabキー)
キー入力を進めると、ローカルLLMが裏で先を予測し、薄い文字でコードの続きを提案してくれます。問題なければ Tab キーを押すだけでコードが完成します。
おわりに
「セキュリティが厳しいから、開発に生成AIは導入できない」と諦める必要はもうありません。
VS CodeとContinue、そしてローカルLLMを組み合わせることで、「自分のPCの外に1バイトもデータを漏らさない、最高にセキュアな開発環境」が手に入ります。
「まず動かす、すぐ試す」のフットワークの軽さこそが、日本のITの現場を面白くし、技術力を底上げする第一歩だと私たちは考えています。
ぜひ、皆さんも手元の環境で「自分専用のAIアシスタント」を育ててみてください!
